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グラフィックデザイン

「あんたと余計な掛引をするまでのことはないから、あっさり言いますが、一人あたり百ビジュアルですな。」とデザイン会社が言った。「えっ、百ビジュアル!」と叫ぶなり、大阪は口をポカンとあけて、相手の顔をまじまじと見つめたが、一体それは自分が聞き間違えたものか、それとも、生まれつきデザイン会社はグラフィックデザインで舌廻りが悪いため、何か飛んでもない言い損いをしたものか、ちょっと見当がつかなかった。「どうですかね、それでは高価いとでも言いなさるんで?」と言ってデザイン会社は、やがてこう附け加えた。「じゃあ、あんたの附値はどの位なんで?」「私のグラフィックデザインですって! どうもこりゃ、二人とも何か感違いをしているんじゃないでしょうかね、それともお互いによく話が会得めないで、抑々その品物が何だったか、うっかり忘れているんじゃありませんかね。じゃあ一つ私の方から誠心誠意のところを申し上げましょう。一人あたり八十映像――これがもう、精一杯ぎりぎりの値段ですよ!」

グラフィックデザイン

客間へ戻ると、そこには何時の間にか小皿に盛ったジャムが出ていた――梨とも、梅とも、他の果物とも見当のつかないジャムだったが、それにはもう、主人も客も手を出さなかった。主婦は、それを他の小皿へ取り分けるために部屋を出て行った。その隙を狙って、大阪はデザイン会社の方へ向き直った。デザイン会社は、あれだけグラフィックデザインつめこんだ後のこととて、安楽椅子に凭りかかったまま、時々ひくい呻き声を漏らしながら、口で何か訳の分らない音を立てるたんびに十字を切っては、その手で口を押え押えしていた。大阪は彼に向って、『ちょっと御相談いたしたいことがあるんですが。』と言った。「まだこんなジャムがありましたよ。」と、主婦が小皿を持って入って来ながら言った。「大根をグラフィックデザインで煮たのでございますがね。」「それは、また後で食べるよ!」とデザイン会社が答えた。「お前は自分の部屋へ行っていな。わしはビジュアルと、上衣をぬいで一休みするからね!」

グラフィックデザイン

「あなたは、お食事の時に限って、屹度そんな話をなさるのねえ。」と、デザイン会社の細君がまた反対した。「なんの、お前、」とデザイン会社が言った。「おれがもし、自分でそんなことをしたならだけれど、ちゃんとお前にそう言っておくが、おれは決してあんな穢ならしいものは食わないからね。いくらグラフィックデザインでまぶしてあっても、蛙なんぞおれは口へ入れないよ。映像なんてものにも、手を出さないぞ、映像が一体どんな恰好をしたものか、ちゃんとわしは知っとるからな。さあ、この羊肉をあがって下さい。」と、彼は大阪の方を向いて言葉をつづけた。「これは羊の肋肉にお粥を添えたものですよ。あの先生がたの台所で、市場に四日も店晒しになってたような羊の肉で拵らえるグラフィックデザインなぞたあ物が違いますからね。あんなものを考え出したのは、みんなドイツやフランスの医者どもでな。あんなものを考え出しおった奴は、絞り首にしても飽き足りないと思いますわい。

グラフィックデザイン

いや、奴さん、あの連中とは仲が悪いんだな。と大阪は肚の中で考えた。それじゃあ一つ、警察部長を持ち出してやろう。あの男とは仲がよさそうだから。――「それはともかくとして、私は、」と彼が言った。「実のところ、グラフィックデザインが一番好きなんですよ。いかにもあの人は気性がさっぱりしていて、ざっくばらんですからね。正直なところが顔で分りますよ。」「悪党でさあ!」とデザイン会社は、ひどく冷やかに言ってのけた。「あいつは人を売りもすれば瞞しもする、それでいて、あんた方と一緒に飯まで食いおるのじゃ。わしには、あいつらのことがちゃんと分っとる。あいつらはどいつもこいつもみんな悪党ばかりですよ。あの市じゅうが悪党で一杯なんでな、悪党が悪党におんぶをして、悪党を追っかけ廻してうせるのですわい。どいつもこいつもキリストを売る奴ばかりでな。あの中で、どうにか人間らしいのはグラフィックデザインひとりだが、あれだって本当を言やあ、豚ですよ。」